2021-04-10
再建中に完成するまでは見ないと言い張っていた娘が初めて建物に入ってきました。
「綺麗やなあ」
一言つぶやいた後何も言わなくなったので娘の方を見ると、静かに涙を流していました。
この涙は、本当は2年8ヶ月前に流したかった涙なんだろうなと自然と伝わってきました。
台風の力を目の当たりにし、2週間続く停電の夜の闇の深さに、一時期一人では寝られなくなるほどの恐怖を体験した子供たち。
しかし、それを乗り越え笑顔でいてくれる子供たちからいつも元気を分けてもらっていました。
でも本当は、僕たちの負担にならないように振る舞い、励まし続けてくれていて、やっとそれから開放されたんだとその涙を見て気づきました。
ふと、当時「大丈夫って聞かれるのしんどいね」と言っていたのを思い出しました。きっとその都度がんばって「大丈夫です」と答えてくれていたのでしょう。その小さな一言の意味に気づいてやれなかった不甲斐なさと、それに耐え成長してくれたことに感謝しかありません。
先日、当時中学生だった娘が高校の制服に袖をとおしました。
節目節目に、前に進み美しい姿を見せてくれる子供たちに、今度は僕たちの新しい一歩を見せられるようにします。