現存する最古の寿司が近江地方に伝わる「鮒寿し」といわれています。
琵琶湖でとれるニゴロブナを塩漬けにしたのち、炊いたご飯を重ねて漬け自然発酵させます。
魚の保存方法のひとつとして伝えられたものです。
鮒寿しの種類
厳しい冬に捕れるニゴロブナを漬けたものが鮒寿しです。鮒寿しには「本漬(ほんづけ)」と「甘露漬(かんろづけ)」があります。
本漬は、塩漬けにしたニゴロブナをごはんに漬けて発酵させる鮒寿し本来の漬け方です。
甘露漬は、本漬にした鮒寿しのごはんを取りのぞき、さらに酒粕に漬けています。
鮒寿し独特の香が苦手を思われている方は、香が少ない甘露漬けをお試しください。
鮒寿しの召し上がり方
鮒寿しに付いた飯を軽くしごき取り、おおよそ3から5ミリ位の厚さに切り、そのままお召し上がりください。ひと切れを口に運び吟醸酒を含んでみてください。鮒寿しと吟醸酒がお互いのよさをひきたてあい、その芳醇で深い味わいはまさに絶品といえます。ことに、鮒寿しの仕込みと同じ水を使って醸した吟醸酒「竹生嶋」(吉田酒造)との相性は格別です。
一般的には子のあるまん中あたりが喜ばれますが、本当においしいのは身の締まった筋肉質の尾びれの近くかもしれません。噛めば噛むほど旨味の出る食べ物です。
また、鮒寿しは、風邪を引いたとき、熱いお湯をかけて飲むとそれが持つ乳酸菌の作用により発汗を促し、楽になるといわれています。鮒寿し自身のもつビタミン、天然の抗生物質もそれに一役かっているそうです。お腹の調子の悪い時などは、鮒寿しの乳酸菌が調子を整える手助けをしてくれます。